当治療室の特徴と治療法



一般的に鍼灸は、五十肩、肩凝り、腰痛、膝痛など運動器疾患のみの治療法と考えられがちですが、頭痛、体の不調、冷え、のぼせ、疲労、慢性むち打ち症、筋違い、ひざの痛み、目の疲れ、胃腸の不調、便秘および下痢、生理不順や更年期障害、不妊などの婦人科系症状、リウマチや関節痛、腱鞘炎や捻挫などの運動器系疾患、その他、甲状腺疾患やぜんそく、花粉症、また、体質改善や、集中力増強、体力増強、睡眠の改善、仕事への活力の強化など、その他いろいろな症状に対して治療効果を発揮しています。


鍼灸と言ってもいろいろな流派がありそれぞれ治療法が異なるのをご存知ですか。専門的になりますが、ここでどのような鍼灸があるのか簡単にご紹介します。中医学(いわゆるTCM)、脈診に重点を置いた日本の伝統的経絡治療、そして西洋医学(現代医学)と東洋医学の融合を追求した長野式鍼灸など、また太極治療+特効穴治療で有名な澤田式鍼灸治療などがあります。その他、良導絡治療、小児鍼あるいは接触鍼治療(刺さない鍼治療)、深谷式灸法、間中式イオンパンピング法、小田式気診鍼法、近藤式新経絡治療(バランス鍼法)、入江式経別経筋奇経療法、有川反応点治療、山元式新頭鍼療法、積聚治療、などなどたくさんの治療法(流派)が存在します。


体にやさしい治療室では、古典的東洋医学診断法により、主に日本で主流になっている鍼灸の技術や治療法を利用しています。日本の鍼灸の良さである、無理なく最大の効果が出る様、私の治療スタイルの基本は、患者さんによって一番『体にやさしい』治療を心がけています。虚弱体質で敏感な方、あるいは子供や赤ちゃんでも受けられるやさしい治療です。こういった患者様には、先の丸い円鍼、てい鍼という刺さない痛くない道具を使って治療します。


また、当治療室は、私が一人で受付、診療、施術、相談に対応しています。そして、通常の医者訪問では不可能なゆったりとした診療時間で、細かい診療と施術、および往診を提供し、より効果が高く、患者さんにも満足頂ける診療をこころがけています。そして、皆様のご健康を心から願い、どんな些細なことでも親身になって相談にのり、信頼して安心して来て頂ける治療室を目指しています。

脈診流(みゃくしんりゅう)経絡治療(けいらくちりょう)

もうすこし詳しくご説明すると、当治療室は、東洋医学の脈診流(みゃくしんりゅう)経絡治療(けいらくちりょう)に基づいて治療しています。脈診流の東洋はりは、どのような病気や症状にも適し、気の調整をする治療法でで、脈診でそれぞれ異なる体質を把握し、手足の末端にある主要穴(ツボ)に鍼をする事で「気血』と「経絡』の調整を行ない、自然治癒力を高めようとするものです。
わかりやすくいうと、水の流れが悪くなったり水量が減った川の状態を補ったり、岩やゴミなどでせき止められている場合は、その邪魔なもの(邪気)を取り除くという事です。(補法、瀉法)


こういった全身治療ですと、鍼灸治療で、自然に体全体の調子が良くなります。『なんだか最近調子がよい』『元気がついた』『そういえば良く眠れるようになった』など、患者さんの方から気づき、報告してくれます。


また指圧治療もまた、経絡の気の流れを意識した総合的、全身治療です。体全体に流れる経絡の虚と実を診断し、症状のある箇所のみならず全身の経絡の調整から根本的に治していこうとするものです。


さらに、当治療室は、骨盤のゆがみをチェックし、特に呼吸法に力を入れた調体指圧の臨床経験を生かし、骨盤の矯正を意識して原因の基盤となる所があれば、根本から治療していこうとするものです。

東洋医学と現代医学

ドイツでは、ハイルプラクティカーによる自然療法と一つとされる東洋医学は、けっして現代医学に対抗して行なわれているものではなく、並行してできるものです。ドイツの自然療法士の資格ハイルプラクティカーもその点をふまえた上で国に認められた資格制度です。


時々、「西洋医学・現代医学でちっとも治らず、おまけに体を壊したのでもう信頼がない、薬はもう絶対飲みたくないし、東洋医学だけで治したい」といわれる患者さんもいます。東洋医学に対して絶対的な信頼を頂く事は大変嬉しい事ではありますが、一方で現代医学が浸透するこの世の中、どのような姿勢で健康について考えたらいいのか、どのようにしたら健康になれるのかなど、両者のいいところを踏まえて、それぞれの患者さんの健康にとってどれが最善の方法かを一緒に考えていくのが、体にやさしい治療室の考えです。


日々医道に精進して研磨していき、患者さんにあった最善の治療方法を見つけて、適切な治療を行う事が、私が日頃心がけているモットーです。

東洋医学の治療とは現代医学と何が違う?

ここで、東洋医学と現代医学の診察は簡単に何が違うかお話しします。


体調が悪くて病院に行かれると聴診器を当てられたり血圧を測ったり血液検査や尿・便検査などをされます。判断が難しい時は精密検査をして画像による診察も行なわれます。そして正常数値などと照らし合わせて異常があった場合、病名がつけられ治療対象となります。患者さんの具合が悪い場合でも検査上、以上が認められない場合は、病気とは診断されません。
一方、私がおこなう東洋医学の経絡治療は、体にめぐらす12経絡の虚実(弱い部分、過剰な部分)を明確にしその中心になる経を治療目標の主証として決定します。つまり、患者さんが訴える種々な症状は、臓腑経絡説により弁別され、12経絡の変動として把握され、どこの経絡が病気や症状のおおもとの原因になっているか決定します。(証決定)そして、その証が診断即治療目標となります。(随証療法)


具体例:
たとえば、腰痛の患者さんの病因では、「何番目の腰椎の椎間板がヘルニアを起こしていますから、腰椎椎間板ヘルニアですね」という診断名が下ります。


わたしがおこなう東洋医学の経絡治療では、腰椎の何番目に椎間板の異常があっても、それが直ちに病気の原因とみません。腰椎の椎間板ヘルニアが腰痛を起こしてしまっている条件の一つとしては考えますが、動かしたときに痛いのか、じっとしていても痛いのか、どのあたりが痛いのかなど腰に関係する経絡の変動として捉え、そして、他にどのような症状があるのかなど、総合的に見て、どの経絡に関係するものかということを考えます。
さらにその経絡変動はどの臓によって引き起こされているのかを探し、「証」を立て治療目標とするということになります。ですから、同じ腰痛でも一人一人の患者さんによってその原因が異なり、治療目標の証が異なるという事になります。鍼治療は、病名治療でも特定の症候群に対する治療でもないです。腰椎椎間板ヘルニアが病気を引き起こしているのではなく、体を正常に保つ経絡が乱れていることによって腰痛が起こってくると考えます。これは、「内傷なければ外邪入らず」という東洋医学独特の病理感に基づくものです。